事の始まりは去年の10月、大学の実験で提出した1枚のスケッチからだった。
俺は正直言うと自分の画力には多少の自信があった。正確には”美術的な画力”というより漫画やアニメなどといったコミカルな絵の方だ。実験で出したスケッチはどちらかといえば前者の方だが、それでも俺は良い評価が貰えるであろうと慢心していた。
しかし結果は酷評だった。まぁそれだけなら諦めがつくのだが、後から提出したヤツのスケッチの方が先生の評価は高かったのだ。全体のサイズ比も、余白のスペースも明らかに俺の方が上のハズ。先生曰くソイツの決め手となったのは「線の薄さ」だそうだ。なんだそりゃあ…
画力や歌唱力といった感覚的なものを否定されると非常に心が痛む。俺は落ち込みながら帰路につくのだった。また来週この時間が来るということを考えたくなかったが、このまま何もしなければ俺はまたボロクソ言われるだけだ。この日から俺は”絵を描き続ける”ことを習慣づけるのであった。
こういうのは飽きて3日坊主になるのが基本だが、意外にも俺の意識は長持ちしていた。もともと描くことは嫌いじゃなかったので、作業中は結構楽しかったのである。
紙とペンしかなかった当時、俺は一日一枚、もしくは二日に一枚の頻度で模写をしていた。テーマは特に決めておらず、ただただその時自分が描きたいと思ったものを描いていた。
それが功を制したのか、その後のスケッチであの日ほどの酷評を言われることは無くなっていった。そして実験の講義は終了し、スケッチを描くことは当分なくなった。絵を描く習慣も終えようかと思ったが、先述した通り描くことに少しの楽しさを感じていた俺はその後ものんびり模写を続けていくのであった。
Fate、まどマギ、ごちうさ...そんなものを描き続け、気付けば翌年の3月になっていた。最初に比べればそれなりに技術は上達したと思う。しかしそれは所詮「模写」であり、云わば「パクリ」に過ぎない。もっと上のランクに到達したいと思った俺はこの時「液晶タブレット（液タブ）」の購入を決意するのであった。
すぐに飽きてしまうことも考慮し、液タブはAmazonの中でも一番安い物を買った。届いていざ描こうと思ったのだが、今度はソフトを買わなくてはいけない。とりあえず俺は「Open Camvas 7（以下OC）」の無料期間に入ってみることにした。この120日の間、絵を描き続け上達しないようであれば即液タブを売っぱらってやろうと考えていた。
模写を禁止した俺が最初に描いたのはアーケードゲーム「キラッと☆プリチャン」で使用しているマイキャラだ。適当なポーズを参考にしたうえで、好きな衣装で描くことにした。
そんでこれ。いまでこそ酷い絵だが、当時の俺は良い物が出来たと実感していた。Twitterには上げたが、翌日改めて見て酷いと思ったのですぐ消した。
そして描き続けること2週間、ちょっとレベルアップしたかな？と思ったのがこれ。OCのやり方に大分慣れてきたこともあってスラスラペンが進んでいった。本当はもっとあるのだが、載せるのが恥ずかしいので辞めておく。機会があったら上げようと思う。
ある程度描けるようになったので、4月真ん中あたりから俺は公式のキャラにも挑戦することにした。キャラといってもプリチャンかプリパラのどっちかなのだが...
1作目がこれ。プリチャンの主人公「桃山みらい」ちゃんだ。公式キャラということもあって俺はいつも以上に気合を入れて描いた。全体のバランスは悪くないと思うけどなんか不格好だ。
そこから1週間後がこれ。俺の大好きなキャラなのでみらいちゃん以上に気合を入れた。背景がなんか寂しかったので適当な色で染めてみた。Twitterにも上げたが1分くらいで消した。
そこから1週間後。衣装が上手く描けたので今度こそ上げようかと思ったのだが、顔がなんか微妙に感じたので辞めた。このあたりから5月になった。
そしてこれ。自信はそこそこあったけどまだ大々的に見せるのは恥ずかしかったので、身内にのみ見せた。初めてTwitterに本格的に上げた絵だ。今はもう消しちゃったけど。
その後程なくしてこの2作品も上げた。2枚目の方はクッソ眠い中描いたのを今でも覚えている。難しい衣装だったが頑張った。
そして初めて俺のアカウントで公の場に出したのがこれだ。特段自信があったワケでは無いが、一応上げることにした。
俺の描き方というのは基本、某サイトでポーズの資料を拾い、それにキャラの絵を合わせるというやり方だ。
これと
これが
こうなる。
ぶっちゃけ模写の延長みたいなものなので上手く描けて当然だろと思うだろう。だが勘弁してほしい。これが現状俺の限界なのだ。
ここから描いたものはほとんどTwitterに上げるようになった。
これは6月に入った頃の絵である。今までは先ほど紹介した手順で描き進めていたのだが、この2つに関してはうまいポーズが見つからなかった。そのため、自分自身がポーズの被写体となり、それをモデルに描いた。初めてのやり方にしてはうまくいった...と思う。写真を撮っている時は本当に恥ずかしかった。
間が空いたが、これは前回から1週間ちょい過ぎた頃の作品だ。一番最初に描いたみらいちゃんの反省を踏まえ、新たに描いたものである。最初に比べると少し上達したなぁと実感できるがまだまだなのだ。
この2作品も俺が被写体になった。この辺りから7月になった。
そんでもってこれは初めてプリティーシリーズ以外で描いたキャラ。純粋に俺がひぐらしが好きなので描いただけだ。
これはかなり時間のかかった作品だ。もとのデザインが複雑なのに加え、OCのあらゆる機能を駆使したので終えた時は達成感があった。Twitterに上げた方は少し気に入らなかったので顔をちょっと変えた。
俺の土日は早朝バイト以外ぜーんぶ暇なので絵を描くくらいしかやることが無い。そういうワケでこの絵のように休日丸1日かけて仕上げた作品もちょくちょくある。先ほどの梨花ちゃんもこれに該当する。
無料期間が残り数日となり、これが俺のOCで描いた最後の作品となった。今まで背景が無い、もしくはシンプルだったのでちょっと手を加えてみることにした。背景にばかり力を入れたせいで肝心のキャラが雑になってしまった。
ここで俺の120日間に渡る戦いは幕を閉じた。結果的に俺自身の画力は上がったのだろうか？正直よくわかっていないが、絵を描くことが自分にとって大きな暇潰しとなることだけはよーく理解できた。恐らくこの習慣がなかったら俺は完全な無気力人間と化していただろう。俺はさらなるステップアップを目指して絵描きの間で評価の高い「Clip Studio Paint（以下クリスタ）」を購入するのであった。
...OCに慣れてしまった自分にとってクリスタは非常に使いづらい。イライラしながら描いた第1作が以下である。画質は無駄に良い。
まだまだ俺の戦いは続くのであった...
